60代からの入れ歯トラブル|痛み・外れの原因と新しい治療|M.DENTAL OFFICE|奈良市柏木町の歯医者

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60代からの入れ歯トラブル|痛み・外れの原因と新しい治療

60代からの入れ歯トラブル|痛み・外れの原因と新しい治療

「入れ歯が合わない」は年齢のせいだけではありません


何年も使ってきた入れ歯が、あるときから歯ぐきに当たって痛む。食事会の途中で浮いてきそうで落ち着かない。こうした変化は、歯ぐきや顎の骨の経年的な変化と、義歯そのものの摩耗が重なって起きていることが少なくありません。原因が分かれば、調整で対応できるのか、作り直しや別の方法を検討する段階なのかを判断しやすくなります。この記事では、合わなくなる仕組みと使い続けた場合に起こりうる変化、そして金属床義歯やインプラントオーバーデンチャーといった選択肢の違いを整理します。


この記事の要点まとめ


  • 入れ歯の痛みや外れやすさは、顎の骨や歯ぐきの変化、義歯の摩耗などが主な原因となります。
  • 違和感を放置すると粘膜の炎症や骨の吸収が進む傾向があるため、早めの相談が勧められます。
  • 金属床やインプラント併用など選択肢は幅広く、お口の状態に合わせた方法の検討が可能です。


入れ歯が痛い・外れやすい原因は歯茎の変化か義歯の劣化か

入れ歯が痛い・外れやすい原因は歯茎の変化か義歯の劣化か

結論から言えば、原因は「お口側の変化」と「入れ歯側の変化」の二つに大きく分かれます。どちらが主因かによって、必要な処置も変わってきます。


加齢で顎の骨や歯茎が縮む仕組み


歯を失った部分の顎の骨(歯槽骨)は、噛む力という刺激を受けなくなると少しずつ吸収され、痩せていきます。総入れ歯の場合、この土手の高さや幅が年単位で変化するため、作った当初はぴたりと収まっていた床と粘膜のあいだにわずかな隙間が生まれます。


隙間ができると入れ歯が動き、特定の場所だけに力が集中して痛みが出る。さらに動くことで骨への負担が偏り、吸収が進みやすくなるという循環に入ることもあります。歯ぐきの痛みは「粘膜の問題」ではなく「土台の形が変わったサイン」である場合が多いという点を、まず知っておいてください1。


義歯そのものの摩耗・変形が原因のケース


入れ歯にも使用による変化があります。人工歯の噛み合わせ面は毎日の咀嚼ですり減り、上下の接触位置が少しずつずれていきます。噛む高さが低くなると、顎の位置が安定せず、外れやすさや顎のだるさにつながることがあります。


また、床に使われる樹脂は長期間の水分吸収や熱の影響でわずかにひずむことがあり、目に見えない微細なヒビが入っている場合も。部分入れ歯であれば、支えている歯にかけるバネ(クラスプ)の緩みも見逃せません3。


体重や体調の変化が適合に影響することも


見落とされやすいのが全身の状態です。数キロ単位で体重が減ると、頬や歯ぐきの粘膜の厚みも変わり、以前は吸着していた入れ歯が浮きやすくなることがあります。逆にむくみやすい時期には、きつく感じて当たりが出ることも。


服薬による口の渇きも関係します。唾液は入れ歯と粘膜を密着させる膜の役割を担っているため、分泌が減ると吸着力が落ちやすくなります2。「最近ちょっと痩せた」「口が乾く」といった変化と入れ歯の不調が重なっていないか、振り返ってみる価値があります。


合わない入れ歯を我慢して使い続けるとどうなるか


痛みをこらえて使い続けると、口の中だけでなく食生活や気持ちの面にも影響が広がっていきます。早めに相談したほうがよい理由を、三つの側面から整理します。


歯茎の痛みや口内炎が繰り返される


合わない入れ歯は、噛むたびに同じ部分をこすります。粘膜に傷ができ、そこに義歯が当たってまた傷が深くなる——この繰り返しで、潰瘍や口内炎が慢性的にできる状態になりがちです。


痛む場所をかばって片側だけで噛むようになると、今度は反対側の負担が増えます。傷んだ粘膜が硬く盛り上がるように変化することもあり、そうなると入れ歯の形をあとから合わせる作業も複雑になります2。痛みが2週間以上続く、同じ場所が何度も傷つくといった場合は、我慢せず確認を受けることをおすすめします。


顎の骨の吸収が進み頬がこけて見えることがある


噛めない状態が続くと、顎の骨に伝わる適度な刺激が減ります。刺激が減った骨は吸収が進みやすく、土手がさらに平らに近づいていきます。土台が減れば入れ歯はますます安定しにくくなり、悪循環になりかねません。


骨と歯ぐきの高さが減ることで口元のふくらみが失われ、頬がこけたように見える変化を自覚される方もいます3。「合わないまま使う」ことは、次に作る入れ歯の条件を少しずつ厳しくしていく選択でもあると考えておくとよいでしょう。


会話や食事の不安が続くことによる心理的な負担


サ行やタ行が発音しにくい、話している途中で浮いてきそうで口を大きく開けられない。こうした不安から、友人との食事会や外出を控えるようになる方は珍しくありません。


食べられるものが柔らかいものに偏れば、たんぱく質やビタミンの摂取量が落ち、全身の栄養状態にも影響しうると指摘されています2。噛む力の低下は、口の問題にとどまらず日々の体調とつながっています。「食事が楽しめない」という感覚そのものが、受診を検討してよい十分な理由になります。


入れ歯の不満についてよくある3つの誤解


相談の場でよく耳にする思い込みを、三つ取り上げます。判断を誤らないための整理として読んでください。


「調整だけで元に戻る」と思われがちな理由


噛み合わせをわずかに削合する、当たりの強い部分を和らげる、床の内面に樹脂を足して隙間を埋める(リライン・リベース)。こうした処置で快適さが変わる場面は確かにあります。一度これで楽になった経験があると、次も同じで済むと考えがちです。


ただ、骨の吸収が大きく進んでいたり、噛み合わせの高さ自体が失われていたりする場合は、調整の範囲を超えます。無理に内面だけを足すと厚みが増して舌の動きを妨げることもあるため、作り直しを含めた検討が必要になることも3。判断の分かれ目は「当たっている場所が限られているか、全体的に合っていないか」です。


入れ歯安定剤は応急処置であり原因の解決にはならない


市販の安定剤は、外出時や大事な予定の前など、一時的に使う分には助けになります。ただし隙間を埋めているだけなので、骨の変化や摩耗そのものが改善するわけではありません。


使い続けるうちに、本来なら気づくはずの不適合が見えにくくなる点にも注意が必要です。痛みが強いときは無理に装着せず、いったん外して粘膜を休ませる判断も選択肢になります1。安定剤を毎日手放せない状態が続いているなら、それは診てもらう時期のサインと捉えてください。


「今さら治療は遅い」という思い込みへの整理


60代、70代から入れ歯を作り直したり、支えを増やす方法を検討したりする方は多くいらっしゃいます。年齢そのものが治療を制限するわけではなく、実際に確認するのは骨の量、全身の状態、服薬の内容、通院の負担をどこまで許容できるかといった条件です3。


選べる方法には幅があり、体への負担が小さい順に検討していくこともできます。あきらめる前に、今の口の中がどういう状態なのかを知るところから始めてみてください。


60代から検討できる入れ歯の新しい治療の選択肢

60代から検討できる入れ歯の新しい治療の選択肢

入れ歯の不調への対応は、「義歯そのものを改良する」方向と「支えを増やして安定させる」方向に分けられます。以下はいずれも一般的な治療分野の説明です。


金属床義歯やノンクラスプデンチャーなど義歯自体の改良


床の一部を金属でつくる金属床義歯は、樹脂だけの入れ歯より薄く仕上げやすく、たわみにくい構造です。熱が伝わりやすいため、食事の温度を感じやすいという特徴もあります。部分入れ歯では、金属のバネを使わず樹脂で支えるノンクラスプデンチャー、柔らかい生体用シリコンを内面に用いた義歯などもあります。


いずれも公的医療保険が適用されない自由診療が中心です。素材によっては修理や調整の方法が限られる、経年で変色や劣化が起こりうるといった点も、事前に確認しておきたいところ3。


インプラントオーバーデンチャーで安定感を高める仕組み


顎の骨に2本程度のインプラントを埋め、その上に磁石やボタン状の部品で入れ歯を留める方法です。入れ歯は取り外して洗えるまま、装着中の動きを抑えやすくなります。


下顎の総義歯を対象に、従来の総入れ歯と比較した研究のまとめでは、口腔関連の生活の質や装着に対する評価の指標で良好な結果が報告されています5。上顎について、支えるインプラントの本数による違いを検討した系統的レビューもあります4。ただし外科処置を伴い、骨の量や全身状態によっては適応とならない場合があります。


All-on-4など少数のインプラントで支える方法


片顎あたり4本程度のインプラントで、連結した固定式の人工歯全体を支える方法も知られています。骨が痩せた部位を避けて傾斜させて埋入するなどの工夫により、骨を増やす処置を減らせる場合があります。


55〜71歳の患者を含む研究を集めた系統的レビューでは、この方法による口腔関連の生活の質や評価指標について検討されています6。一方で、清掃のしやすさや将来の修理のしかたは通常の入れ歯と異なるため、長期の管理方法まで含めて説明を受けることが前提になります。


自分に向いている治療かどうかを見極める目安


判断材料になるのは、顎の骨の量と質、糖尿病など全身疾患の管理状況、服薬内容(骨に関わる薬など)、喫煙習慣、そして通院と手入れをどこまで続けられるかです46。外科処置を伴う方法では、腫れや出血、感覚の変化、インプラント周囲の炎症といったリスクがあり、埋入後も定期的な管理が欠かせません。


当院では歯科用CTやセファロ、口腔内スキャナー(iTero)などを用いた検査を行い、骨の状態を立体的に把握したうえで、患者さんのご要望を伺いながら選択肢をご提案しています。まずは今の状態を正確に知ることが、納得できる選択につながります。


奈良市で入れ歯の相談をする際に知っておきたいこと


入れ歯の治療は、作って終わりではなく調整とメンテナンスが続きます。だからこそ通いやすさと費用の見通しを、最初に整理しておくと安心です。


奈良市で無理なく通える医院を選ぶ視点


新しい入れ歯は、完成後しばらく細かな調整に通うのが一般的です。作製までにも、その後の調整にも複数回の来院が必要になると考えると、自宅から片道どのくらいで行けるかは現実的な条件になります。


奈良市にお住まいで車を使う方なら駐車場の有無、ご家族の送迎を前提にするなら都合を合わせやすい時間帯があるか。バス停からの距離も確認しておきたい点です。加えて、説明に時間を割いてくれるか、検査結果を見せながら話してくれるかも、長く付き合ううえで見ておきたいところ3。


保険診療と自費診療で通院回数・費用がどう変わるか


保険診療の入れ歯は費用の負担が抑えられ、修理や調整の体制も整っています。一方で使える材料や設計に制約があります。自費診療では素材や構造の選択肢が広がりますが、公的医療保険の適用外です。


治療の流れと目安は、次のように整理できます。保険の総義歯は、検査・型取り・噛み合わせの確認・完成、そして完成後の調整という段階を踏み、通院はおおむね5〜6回、期間は1〜2ヵ月程度、自己負担は3割負担の場合でおよそ1万〜1万5千円程度が一般的な範囲です。自費の金属床義歯も流れそのものは同様で、通院5〜8回、期間2〜3ヵ月程度、費用は片顎30万〜60万円程度(使用する金属の種類や設計によって幅があります)とされます。金属のバネを使わない部分入れ歯は、検査・型取り・噛み合わせの確認・完成・調整という流れで、通院4〜6回、期間1〜2ヵ月程度、費用は8万〜20万円程度が目安です。インプラントを併用して入れ歯を支える方法は、検査・診断、インプラントを埋める外科処置、骨が治るのを待つ期間(おおむね3〜6ヵ月)、入れ歯の製作と連結部品の取り付けという段階が加わるため、通院は8〜12回程度、期間は4ヵ月〜1年程度、費用は下顎にインプラント2本を用いる場合で検査・診断、埋入手術、連結部品、義歯製作を合わせて総額60万〜120万円程度という幅で示されることが多くなります。骨を増やす処置を行う場合は、さらに5万〜15万円程度の費用と数ヵ月の期間が加わります。片顎4本程度のインプラントで固定式の人工歯を支える方法では、検査・診断、埋入手術、仮の歯での経過観察、最終的な人工歯の装着という段階を踏み、通院は10〜15回程度、期間は6ヵ月〜1年程度、費用は検査・診断、手術、上部の人工歯を合わせて総額200万〜400万円程度が挙げられます。ここに示した費用・期間・通院回数はいずれも一般的な相場であり、当院の費用ではありません。お口の状態や選ぶ方法、医療機関によって異なり、当院の費用や期間は診察のうえでご案内します。なお、外科処置を伴う方法には腫れや出血、感覚の変化、インプラント周囲の炎症などのリスクがあり、完成後も定期的な調整と管理が必要です。


医療費控除やデンタルローンという費用面の備え方


自費の歯科治療も、治療目的であれば医療費控除の対象になりうるものがあります。同一世帯で1年間に支払った医療費を合計し、確定申告で申請する仕組みで、通院の交通費が含められる場合も。領収書や記録は保管しておいてください。適用の可否は個別の事情で変わるため、税務署や国税庁の案内での確認が確実です。


分割払い(デンタルローン)を用意している医療機関もあります。金利や支払い回数は取り扱う会社によって異なるため、総支払額まで確かめたうえで判断しましょう。費用の話は聞きにくく感じるかもしれませんが、治療計画を立てる前に伝えておくほど、無理のない進め方を組み立てやすくなります3。


よくある質問


Q. 入れ歯が合わないとき、まず何をすればよいですか。

A. 痛みが強いときは無理に装着せず、粘膜を休ませてから歯科医院で確認を受けてください。自分で削る、曲げるといった手直しは、適合をさらに崩す原因になりかねません。


Q. 顎の骨が減っていると、どのような影響がありますか。

A. 入れ歯を支える土手が低くなるため安定しにくくなり、口元のふくらみが失われて頬がこけたように見えることがあります。噛む刺激が減るとさらに吸収が進みやすいため、早めに機能を回復させる方向で検討するのが一般的な考え方です。


Q. 入れ歯は何年くらいで作り直しを考えますか。

A. 一律の年数はありませんが、数年単位で顎の骨や粘膜は変化します。調整で対応できるうちは調整を重ね、噛み合わせや適合が大きくずれてきた段階で作り直しを検討する流れが多く見られます。定期的な確認が判断の助けになります。


Q. 持病があってもインプラントを併用する方法は検討できますか。

A. 糖尿病や骨に関わる薬の服用など、状態によって適応が変わります。全身状態の管理が安定しているかどうかが重要で、主治医との連携が必要になる場合もあります。まずは検査と問診で条件を整理するところからになります。


Q. 入れ歯安定剤を毎日使っていますが問題ありますか。

A. 一時的な使用は助けになりますが、毎日手放せない状態は適合が合っていないサインとも考えられます。不適合に気づきにくくなるため、一度診てもらうことをおすすめします。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

3. 公益社団法人 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/

4. Di Francesco F, De Marco G, Capcha EB et al. Patient satisfaction and survival of maxillary overdentures supported by four or six splinted implants: a systematic review with meta-analysis. BMC Oral Health. 2021. PMID: 33962612 / DOI: 10.1186/s12903-021-01572-6

5. Egido Moreno S, Ayuso Montero R, Schemel Suárez M et al. Evaluation of the quality of life and satisfaction in patients using complete dentures versus mandibular overdentures. Systematic review and meta-analysis. Clin Exp Dent Res. 2021. PMID: 33205918 / DOI: 10.1002/cre2.347

6. Gonçalves GSY, de Magalhães KMF, Rocha EP et al. Oral health-related quality of life and satisfaction in edentulous patients rehabilitated with implant-supported full dentures all-on-four concept: a systematic review. Clin Oral Investig. 2022. PMID: 34647147 / DOI: 10.1007/s00784-021-04213-y


前田 力也

歯科医師


M.DENTAL OFFICE

院長

前田 力也

▶ 監修者プロフィール

経歴
1971年 広島生まれ
広島城北高校(’90卒業) バスケットボール部
大阪歯科大学(’97卒業) 硬式庭球部
大阪歯科大学臨床研修医(1年間)
鴫野山田歯科医院(’98.4~)
奈良学園前山田兄弟歯科(’99.9~)結婚と同時に奈良県民となる
2016年5月 奈良市柏木町にてM.DENTAL OFFICE 開院
資格・所属学会
1998年~ JIADS ペリオコース、補綴コース、再生療法コース、エンドアドバンスコース、インプラントコース、LOTコース
2004年 ハーマンズ東京包括歯科臨床コース(筒井昌秀、照子先生)
2005年 筒井塾 咬合コース
2006年 阿部晴彦 総義歯セミナー
2011年 大村メソッド
2013年 南清和先生コース
2016年 スーパーペリオ塾
2017年 GDS総義歯コース
2022年
FIDIハンズオンセミナー
(メガジェンインプラント)
2023年 CSTPC福岡コース
2024年 ODGC(矯正診断コース)
日本審美歯科協会
日本臨床歯周病学会
日本包括歯科臨床学会
神戸ケアクラブ